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ホスピスでの遺言書作成から遺贈登記まで~ご家族と分担した相続手続き

最終更新日:2026.10.11

ホスピスでの遺言相談

 当事務所のホームページを見たという、札幌市中央区のホスピスで療養中のB様から、遺言書を作成したいとお電話をいただきました。残された時間を考えて、ご自身の財産についてきちんと決めておきたいというご相談です。 
 後日、私がホスピスに伺いました。施設内はとてもきれいで、スタッフの方々の対応もよく、B様ご自身も快適に過ごされていると話されていました。
B様のご事情は事前に伺っていましたが、必要以上に気を使うことで、かえって話しづらくならないよう、普段と変わらない対応を心がけました。 

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元奥様と二人のお子様へ

 B様は、すでにご自身で遺言書の原案を作成されていました。
 B様には、離婚された元奥様と、長女様・長男様の二人のお子様がいらっしゃいます。以前のご自宅は、B様と元奥様がそれぞれ持分2分の1ずつで共有しており、現在は元奥様がお住まいです。遺言の内容は、ご自宅のB様の持分を元奥様に遺贈し、その他の金融資産は長女様と長男様に2分の1ずつ相続させるというものでした。
 離婚された元奥様は、法律上、B様の相続人ではありません。そのため、遺言によって財産を渡す「遺贈」という形になります。離婚後も交流は続いており、元奥様はホスピスにも面会に来られているとのことでした。

なるべく短い遺言に

 公正証書遺言という方法もありますが、作成までの準備や日程調整に時間がかかることもあるため、今回は残された時間を考え、自筆証書遺言で進めることにしました。
 自筆証書遺言は、原則として本文・日付・氏名をご本人が手書きし、押印する必要があります。B様は達筆でしたが、字が上手なことと、長い文章を書く負担とは別の話です。自筆証書遺言には財産目録を付けることもできますが、必須ではありません。
 そこで、B様の負担を軽減できるよう、なるべく簡潔な表現にし、財産目録を別に用意しなくても内容が伝わるよう、遺言書の原案を整えました。

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遺言執行者は長女様に

 B様が作成された遺言書の原案には、遺言執行者の指定がありませんでした。そこで、私から遺言執行者を指定しておくことを提案しました。
 遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを進める人のことです。今回であれば、預貯金の解約や元奥様への遺贈登記などを行うことになります。遺言書の中で指定することができ、今回は、ご家族の中で動きやすい長女様を指定することになりました。

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手続きはご家族と分担することも

 遺言執行者になったからといって、すべての手続きを自分で行う必要はありません。専門家に委任することもできます。例えば、遺言執行全体を当事務所に委任することもできますし、預貯金の解約は長女様が行い、登記だけを当事務所が担当するといった分担も可能です。
 B様からは「専門家に支払う費用をなるべく抑えたい」とのご希望も伺っていましたので、こうした方法についても説明しました。遺言書の作成を終えた後は、B様と少し世間話をして、ホスピスを後にしました。

ご逝去後の手続きと戸籍収集

 それから約1か月後、長女様から、B様が亡くなられたとのご連絡をいただきました。
 後日、長女様のご自宅に伺うと、元奥様と長男様も来てくださいました。私からは、まず遺言書の検認が必要になることや、その後の手続きの流れ、必要な書類について説明しました。戸籍謄本については、ご家族で収集していただくことになりました。当事務所で取得を代行することもできますが、ご自身で集めていただければ、その分の報酬を抑えることができます。必要な戸籍の種類や集め方を詳しく説明したところ、過不足なくすべて揃えてくださいました。

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まずは遺言書の検認

 当事務所で遺言書検認申立書を作成し、長女様に署名・押印していただいたうえで、札幌家庭裁判所に遺言書検認の申し立てを行いました。
 検認は、遺言書の状態や内容を確認して記録し、偽造や書き換えを防ぐための手続きです。検認を受けたことで、遺言が有効になるというわけではありません。なお、公正証書遺言や、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言では、検認は不要です。
 検認の日には、遺言書を保管していた長女様だけが出席されました。相続人全員が出席しなければならないわけではありません。検認後、遺言書に検認済証明書を付けてもらい、その後の手続きに使用する準備が整いました。

預貯金は長女様、登記は当事務所

 長女様にも遺言執行は、全部を当事務所に委任することもできるし、一部だけを委任することもできると説明しました。今回は費用面を考え、預貯金の解約は遺言執行者である長女様ご自身で行い、専門的な知識が必要になる登記手続きは当事務所で担当することになりました。
 預貯金の解約については、まず金融機関に連絡し、遺言書や戸籍謄本などの必要書類を確認したうえで、金融機関の案内に従って進めていただくようお伝えしました。その後、長女様が各金融機関での解約手続きを終えられたところで、今度は私が元奥様への遺贈登記を進めることになりました。

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元奥様への遺贈登記

 今回の登記は、正確には「遺贈による持分移転登記」です。B様が所有していた不動産の持分2分の1を、元奥様に移転する手続きです。
 登記手続きは、登記義務者側の申請人である遺言執行者の長女様と、登記権利者である元奥様が共同で申請します。そのため、お二人に必要書類をご用意いただきました。ただし、長女様は遺言執行者として手続きに関わるものの、長女様のお名前が登記簿に記載されるわけではありません。
 また、今回はB様の最後の住所がホスピスの住所になっていたため、遺贈登記の前提として、登記簿上の住所を変更する登記も必要でした。亡くなられたB様の住所を、亡くなった後に変更するという、少し不思議に感じられる登記ですが、今回のように遺贈登記の前提として必要になることがあります。

相続より登録免許税が高くなる遺贈登記

 元奥様は相続人ではないため、今回の遺贈登記では、相続登記よりも登録免許税の税率が高くなることを面談時に説明しました。相続登記の税率は原則0.4%ですが、相続人以外への遺贈登記は2%です。登録免許税は登記の際に納める税金で、司法書士の報酬とは別のものです。
<詳しくは国税庁の「登録免許税の税額表」でも確認できます>
 予想外の費用に驚かれることがないよう、税率が高くなることはあらかじめお伝えしました。

実際に計算してみると…

 ところが、後日、固定資産税納税通知書をお預かりして計算すると、思っていたほど高額にはなりませんでした。建物がある程度古かったのと、登録免許税の計算対象が不動産全体ではなくB様の持分2分の1だけだったためです。
 あまり高い高いと言って、身構えていただく必要はなかったかもしれません(笑)。もちろん、実際の費用は登記前に長女様と元奥様にお示しし、説明しています。ただ、私が思っていたほど、お二人は金額の高い安いを気にされていないご様子ではありました。

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遺贈の登記も無事に完了

 元奥様への遺贈による持分移転登記も無事に完了しました。遺言書の検認申立てにかかる費用も含め、当事務所への費用は、すべての手続きが完了した後にまとめてお支払いいただきました。
遺言執行者である長女様は、相続手続きに慣れているわけではありませんので、預貯金の解約には多少時間がかかりました。それでも、ご家族が戸籍の収集や金融機関での手続きをご自身で進められたことで、当事務所にお支払いいただく報酬を抑えることができました。
 すべての手続きを当事務所が代行するのではなく、ご家族でできることはご家族にお任せし、専門的な手続きは当事務所が担当する。B様が生前に希望されていた「費用をなるべく抑えたい」というお気持ちにも沿った形で、お手伝いできた案件だったと思います。

遺言・相続手続きの無料相談

 当事務所では、自筆証書遺言・公正証書遺言の作成や、遺言書の検認、遺言執行、相続・遺贈の登記などについて、無料相談を行っています。
 今回のように、ご家族でできる手続きはご自身で進め、難しい部分だけを当事務所にご依頼いただくことも可能です。また、遺言執行のすべてを当事務所にお任せいただくこともできます。

 遺言書がない場合も、預貯金の解約や相続登記などを個別にご依頼いただけるほか、相続手続き全体を一括して代行する相続手続き「まるごと」サポート(※)もご用意しています。どこまでご自身で行い、どこから専門家に任せるかという点も含めて、ご相談ください。
(※)相続手続き「まるごと」サポートとは、当事務所が行う相続手続き一括代行サービスのことです。詳しくは、以下をご覧ください。


 
また、B様のように外出が難しい方のために、札幌市全域・札幌近郊への無料出張相談も行っています。無料出張相談の理由 >
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