実績紹介

親から子へ区分マンションの生前贈与

最終更新日:2025.09.06

 

【動画解説】親から子へ区分マンションの生前贈与

 

父名義のマンション

 当事務所ホームページの問い合わせフォームより、札幌市中央区のN様(40代・男性)からご連絡をいただきました。「私が住んでいる父名義のマンションを、生前贈与で私の名義変更したい」というご依頼です。

N様が居住

 現在N様が住んでいる区分マンションは、以前からお父様が所有していたマンションですが、N様が結婚を機に住むようになったそうです。とはいえ、実際に固定資産税を支払ってきたのはN様ご自身でした。「名義を変えることで、住んでいる人と税金を払っている人を一致させたい」という思いから、当事務所へご連絡をくださったということでした。

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お父様宅に訪問

 N様のお住まいの区分マンションから徒歩10分ほどの距離にある、お父様がお住まいのご自宅(N様にとっての実家)に訪問し、お父様とN様から詳しいお話を伺いました。

 N様のご家族は、お父様・お母様・お姉様・N様・弟様の5人です。
 生前贈与は、お父様とN様の二人の合意のみによって行うことができ(「贈与契約」という契約を結ぶことになります)、法律上、第三者や他の相続人の同意は必要ありません。
 ただし、法律的には問題がなくても、現実には家族の中で特定の一人だけが財産を受け取ることになると、不公平感が生じ、揉めごとにつながる可能性もあります。

法律上必要のない家族間の合意

 この点、今回は「他の子どもたちにも結婚時にそれぞれ財産を渡している」「他の子どもたちもマンションを贈与することに同意している」といった事情があり、お父様からN様にマンションを贈与することは特に問題はないということでした。
 法律上は関係がないとしても、家族間で揉めないということは、実務を進めるうえで重要な確認事項だと考えています。

不動産の生前贈与の税金

 生前贈与で不動産の名義を変更する(所有権を移転する)場合には、原則として以下の税金が発生します。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 贈与税(特に高額になることが多い)

 贈与税については「相続時精算課税制度」を利用すれば0円にできるケースもあります。
 しかし一方で、不動産所有者の死亡時に相続税がかかる場合にこの制度を利用すると、相続時に不利になる可能性もあるため、相続時精算課税制度の利用には注意が必要です。

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税理士の判断が必要な場面

 今回のケースでは、お父様の資産状況から「相続税がかかるかどうか微妙」という状況でした。
 相続税が明らかにかからない場合には、相続時精算課税制度の利用にほとんどデメリットがないため、制度を活用する方が得策といえます。
 しかし、相続税がかかるかどうかの判断や、その場合にどの制度を選ぶのが有利かといった税務判断は、司法書士の職域を外れます。

 そこで、当事務所とお付き合いのある相続税に詳しい税理士をご紹介し、実際に診断してもらうことをご提案しました。
 「特に急いでいるわけではないので、相続の時にどうなるかも含めて税理士さんにぜひ見てもらいたいです」とのご希望を受け、すぐに税理士に連絡を取り、N様との間をおつなぎしました。

 そして後日、税理士から「相続時精算課税制度を利用して問題ない」との判断をいただき、N様からもあらためて「登記手続きをお願いしたい」とのご連絡をいただきました。

実際の登記手続きへ

 税務の方向性が定まったことで、いよいよ司法書士としての出番です。
 すでに登記手続きの当事者であるお父様とN様の本人確認は済んでいるため、書類のやり取りはすべて郵送で行うことにしました。
 当事務所が登記関係書類の作成 ⇒ 書類を二人に郵送 ⇒ 二人が書類に署名押印 ⇒ 二人が署名押印した書類やその他の必要書類を当事務所に返送 ⇒ 当事務所が法務局に登記申請 ⇒ 登記の完了 ⇒ 当事務所からお二人に完了書類を郵送、という流れで、全ての手続きをスムーズに進めることができました。

N様からの感謝のメール

 完了書類到着後に、N様からはご丁寧なメールをいただきました。
「マンションの名義変更だけでなく、父が亡くなった後に必要となる税務関係についても知ることができ、大変助かりました」
「税理士さんもご紹介いただいたことで、将来の見通しが立ち、とても安心しました。今後また何かあればぜひお願いしたいと思います。」
 このようなお言葉をいただき、当事務所としてもお役に立てたことを心よりありがたく感じております。

不動産の生前贈与はお任せください

今回のN様のケースでは、以下の点が重要だったと思います。

  • (法律上不要ですが)家族間の合意も確認すること
  • 税務面の判断がつかない場合には税理士にも相談すること

 当事務所では、司法書士が法律・登記面をサポートするとともに、必要に応じて信頼できる税理士をご紹介し、安心して生前贈与の手続きを進められる体制を整えています。
 「親から子へ住まいを引き継ぎたい」「生前に名義を整理したい」といったご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

生前贈与の無料相談

 生前贈与を理由に不動産の名義変更をする場合、各種税金(登録免許税、不動産取得税、贈与税)がかかりますが、具体的金額を計算することは一般の方にとってはなかなか難しいと思います。
 当事務所にご相談いただければ、各種税金の概算を算出し、贈与税を回避する手段(相続時精算課税制度の選択、居住用不動産の配偶者控除の活用 等)も検討したうえで、生前贈与の適否を判断することが可能です。
 また、N様の場合のように、無料でご自宅に訪問することも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください無料出張相談の理由 >
 皆様からの相談を心よりお待ちしております。お問い合わせ >

 

【用語解説】

● 区分マンション

一棟の建物の中に、構造上独立した複数の住戸や区画が存在し、それぞれが独立した不動産として登記されているマンション。

● 生前贈与

贈与者が生きている間に、自分の財産を無償で他人に与えること。

● 贈与者(ぞうよしゃ)

自分の財産を無償で相手に与える人。あげる人。

● 受贈者(じゅぞうしゃ)

贈与によって財産を受け取る人。もらう人。

● 不動産の名義変更

不動産の所有者名を登記簿上で変更する手続きで、正式には「所有権移転登記」と呼ばれます。売買、贈与、相続など、さまざまな原因によって行われます。

● 登録免許税 

不動産の登記など、特定の登記や登録を行う際に国に納める税金。

● 不動産取得税

土地や建物を取得した際に、都道府県に納める税金。贈与や売買で取得した場合に課税される。

● 贈与税

個人から財産を贈与された場合に、贈与を受けた人が国に納める税金。

● 相続税

個人の死亡により財産を相続した際に、相続人が国に納める税金。

● 相続時精算課税制度 (そうぞくじせいさんかぜいせいど)

生前贈与された財産を相続時に相続財産に加算し、相続税として精算する制度。特定の要件を満たす場合に選択可能。

● 居住用不動産の配偶者控除 (きょじゅうようふどうさんのはいぐうしゃこうじょ)

夫婦間で居住用不動産を贈与する際に、特定の要件を満たせば贈与税の2000万円までが非課税となる特例。

● 司法書士

登記手続き(不動産登記、商業登記など)や供託、簡易裁判所における訴訟代理などを行う法律専門職。

● 税理士

税務の専門家として、税務申告や相談、税務調査対応を行う国家資格者。会計や相続・事業承継のサポートも担う。

 

【よくある質問】

Q.不動産の生前贈与は、どのような場合に検討されますか?

A.不動産の生前贈与は、特に親族間で不動産の名義を変更したい場合に検討されることが多いです。例えば、親族が所有する不動産(この事例ではお父様の所有する区分マンション)を、生前のうちに特定の親族(子であるN様)に譲り渡したいと考える場合に選択肢となります。
 この方法は、将来の相続を待たずに所有権を移転できるため、贈与者の意思を確実に反映させたい場合や、受贈者が早めに不動産を取得したい場合に有効です。

Q.不動産の名義変更において、「遺言」と「生前贈与」の主な違いは何ですか?

A.「遺言」と「生前贈与」の主な違いは、名義変更が行われる時期とそれに伴う費用、特に税金の種類です。

  • 遺言(遺言執行による相続登記): 贈与者が亡くなった後に名義変更が行われます。この場合、登録免許税はかかりますが、不動産取得税と贈与税はかかりません。費用面では、一般的に生前贈与よりも安く済む傾向があります。なお、相続税については、贈与者の資産状況によって課税される場合と課税されない場合があります。N様のケースではお父様の資産状況から相続税が課税される可能性を考慮する必要がありました。
  • 生前贈与(所有権移転登記): 贈与者が生きている間に名義変更が行われます。この場合、登録免許税、不動産取得税、そして贈与税が全てかかります。特に贈与税は高額になることが多く、この点がN様のケースでも懸念されました。

Q.生前贈与で不動産の名義変更する際に発生する主な費用は何ですか?

A.生前贈与で不動産の名義変更をする際には、以下の3種類の税金が主な費用として発生します。

  • 登録免許税: 不動産の登記手続きにかかる税金です。
  • 不動産取得税: 不動産を取得した際に一度だけかかる税金です。
  • 贈与税: 財産を贈与された際に、その財産の価額に応じてかかる税金です。この税金が特に高額になる傾向があり、生前贈与の検討における重要なポイントとなります。相続時精算課税制度などの回避手段もありますが、関係性によっては適用できない場合もあります(事例の父から子への贈与では相続時精算課税制度の適用が可能です)。

Q.贈与税を回避するための手段はありますか?

A.贈与税を回避するためのいくつかの手段は存在します。代表的なものとしては、以下の制度があります。

  • 相続時精算課税制度: 特定の要件を満たす場合に、贈与時に一定額までの贈与税を非課税とし、贈与者が亡くなった際に相続税としてまとめて精算する制度です。
  • 居住用不動産の配偶者控除: 婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産またはその購入資金の贈与が行われた場合に、2000万円まで贈与税が非課税となる特例です。

 ただし、これらの制度の適用には条件があるため、贈与者と受贈者の関係性によっては利用できないことがあります。そのため、個別のケースでは税理士などの専門家に相談し、適用可能性を判断することが重要です。

Q.札幌アメジスト司法書士事務所では、生前贈与での不動産の名義変更の相談に対してどのようなサポートを提供しますか?

A.札幌アメジスト司法書士事務所では、お客様の状況に合わせて円滑かつ安心して手続きを進められるよう、多岐にわたるサポートを提供しています。

  • 費用面の具体的な説明と概算算出: 固定資産税納税通知書などを基に、登録免許税、不動産取得税、贈与税といった各種税金の概算を算出し、具体的な費用感を提示します。
  • 贈与税回避策の検討: 相続時精算課税制度や居住用不動産の配偶者控除など、贈与税を軽減または回避するための手段を検討し、場合によっては税理士とも協力し、その適否を判断します。
  • 手続きの適否判断: 個別の状況に合わせて、生前贈与が最適な方法であるか、あるいは遺言などの他の方法が良いかを判断するサポートを行います。
  • 必要書類の準備と登記申請: 不動産の名義変更に必要な書類の準備を支援し、法務局への登記申請手続きを代行します。
  • 無料出張相談: 高齢や病気などで外出が難しい場合や、忙しくて時間が取れない場合のために、無料で自宅訪問して相談に応じるサービスを提供しています。

Q.札幌アメジスト司法書士事務所は、生前贈与以外にどのような業務を提供していますか?

A.札幌アメジスト司法書士事務所では、生前贈与にとどまらず、相続や登記をはじめとする幅広い業務を取り扱っています。主な業務カテゴリーとして、次のようなものが挙げられます。

  • 相続手続: 相続登記、銀行口座の凍結解除、遺言執行、不在者財産管理人選任申立、相続放棄など。
  • 相続対策: 遺言書の作成支援、成年後見の申立など。
  • 土地、建物の登記: 不動産の売買、財産分与に伴う名義変更、破産管財人による任意売却など、多岐にわたる不動産登記手続き。
  • 会社、法人の登記: 設立から清算まで、幅広い商業登記手続き。

 また、事務所での無料相談やご自宅等への無料出張相談(札幌市全域・札幌近郊)、夜間・土日・祝日の対応も行っており、利用者の利便性を高めるためのサービスを幅広く提供しています。

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