遺言相談⇒遺言書検認申立⇒相続登記⇒相続不動産売却

作成済みの遺言の相談
当事務所のホームページを見たという札幌市手稲区のM様(50代女性)から、「父が書いた遺言を確認してほしい」と電話でご連絡をいただきました。
これから作成する遺言の相談はよく受けるのですが、すでに作成された遺言についての相談は初めてでしたので少々戸惑いましたが、M様の不安な様子が伝わってきましたので、ともかく翌日M様宅に訪問することになりました。
入院前に遺言を作成
M様宅に訪問し、以下のようなお話を伺いました。
「父は現在がん治療のため、札幌市内の病院に入院中です」
「入院する前に万が一に備えて、父は自分で遺言(自筆証書遺言)を書きました」
「母はすでに他界しているので、父が亡くなった際の相続人は兄(道外在住)と私の2人です」
「父は今まで近くで面倒を見てきた私のことを思って遺言を書いてくれました」
「実家(札幌市内の土地及び建物)を私に相続させるという内容なのはわかるのですが、そもそも有効なのかどうか心配で…」
不正確な記述も…
遺言の内容を確認すると、不正確な記述が若干ある(「番地」と書くべきところを「番」と書いている等)ものの、自筆証書遺言の要件は備わっている(本文の自書、日付の記載、押印、財産目録の添付、財産目録への署名押印等)ことがわかりました。
不正確な記述も遺言が無効になるほどの間違いではないと判断できましたので、私から「100%有効とまでは言い切れませんが、ほぼ間違いなくこのままで相続手続きに使用できます」とお伝えしたところ、M様は「そうですか。よかったです」と、とても安堵されていました。
その後は、不謹慎な話になりますがお父様がお亡くなりになった後の手続き(遺言書検認申立、遺言執行として行う相続登記)についての説明やお兄様に認められる遺留分(一定の相続人に対して保証されている最低限の相続分)についての説明等を行い、その日はM様宅を後にしました。
遺言書検認申立
それから約半年後、「父が亡くなったので、その後の手続きをお願いしたい」「遺言書検認申立に必要な戸籍謄本はすでに取得しています」とM様からご連絡がありました。M様は半年前の私の説明を詳細に記録していたようで、私から改めて説明するまでもなく、今後の手続きの流れを理解されていました。
まず行う必要があるのが、遺言書検認申立という家庭裁判所に対する手続きです。
検認は簡単に言うと遺言書の偽造・変造を防止するための手続きのことで、お父様が書いた遺言書(自筆証書遺言)を相続手続きに使用する(遺言執行する)ためには必ず行わなければならない手続きです。
M様に遺言書の保管状況等について改めて伺った後、当事務所で家庭裁判所に提出する遺言書検認申立書を作成しました。そして、その申立書にM様から押印をいただき、管轄の札幌家庭裁判所に遺言書検認の申し立てを行いました。
検認手続き
申し立てを行うと、家庭裁判所からお父様の相続人全員に対して検認期日(検認を行う日)が通知されます。ただ、検認期日の出席は相続人の義務ではないため、出席するかどうかは相続人各自の判断に委ねられます。実際、道外に住むM様のお兄様は欠席されたそうです。
そして、検認期日に申立人であるM様が遺言書を提出し、裁判官が検認を実施します。検認後に、遺言書に検認済証明書を綴じてもらうことで、お父様の遺言書をその後の相続手続きに使用する準備が整ったことになります。
有効になるわけではない
ここで注意しなくてはならないのは、検認が遺言書の有効・無効を判断をしているわけではないということです。遺言書が実際に相続手続きに使用できるかどうかの判断は、あくまでその遺言書の提出先(預貯金の解約なら各金融機関、相続登記なら法務局)が行うことになります。
お父様の遺言の内容は相続登記(相続不動産の名義変更)に関するものですので、実際にこの遺言書を使用できるかどうかは、法務局が判断することになります。
相続登記の申請
遺言書の検認を受けたことで、遺言書を利用しての相続登記の申請が可能となりました。前述のとおり遺言には若干不正確な記述もあったのですが、法務局はお父様の遺言書を有効なものと判断したようで、登記は1週間もかからずに無事に完了しました。
ご実家は無事にM様の名義となり、お父様の意思は実現されることになりました。
相続不動産の売却
相続登記完了後には、相続した不動産の売却が可能になります。
相続した実家を売却したいと事前にM様から伺っていましたので、遺言書検認申立を行う前から、当事務所と馴染みのある不動産会社と連携を取っていました。
ご実家は築50年を迎える旧耐震基準の戸建住宅です。失礼ながら立地もあまり良くないため、簡単には売れないだろうと思っていたのですが、現状のままで購入したいという法人(設計事務所)が現れました。購入後にリフォームしたうえで、事務所として使用したいということです。
不動産売却の決済には私も立ち合いましたが、M様は「てっきり建物を壊すものと思っていました」「実家をそのまま使用してもらい嬉しい」と大変喜んでおられました。不動産会社の担当者の対応も良かったようで、M様から改めて感謝のお言葉をいただきました。
フルコース(?)のような業務
作成済みの遺言の相談から始まったM様からのご依頼は、この不動産売却をもって全て完了となりました。遺言相談⇒遺言書検認申立⇒相続登記⇒相続不動産売却という当事務所でお手伝いできることのほぼ全てを行ったフルコースのようなご依頼で、当事務所にとっても非常に充実感のある感慨深い業務となりました。
相続の無料相談
当事務所では、遺言書作成、遺言書検認申立、相続登記、相続不動産の売却等の相続に関する無料相談を随時実施しています。
また、M様宅に伺ったように札幌市全域・札幌近郊への無料出張相談も行っています。無料出張相談の理由 >
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