海外居住者の相続登記・相続手続き
お父様のご逝去
当事務所のホームページを見たというS様(40代女性 オーストラリア在住で一時帰国中)から、「2週間前に亡くなった父の相続手続きをお願いしたい」と電話でご連絡をいただきました。相続人全員が揃っているということでしたので、札幌市西区にあるS様のご実家に訪問し、詳しいお話を伺いました。
- 相続人は、S様のお母様、S様、S様の妹様の計3人
- 遺産は、西区の実家(土地・建物)と預貯金6口座
- 遺産の全てをお母様が相続することで話し合いがついている
- S様はオーストラリア在住、妹様は仙台市在住
お母様のそばにいられない娘様二人が、「母一人では何もできないので」と、今後一人になってしまうお母様のことを心配しているご様子でした。
海外居住者の遺産分割協議書
一度金融機関に行き相続手続きの説明を受けたそうですが、とても自分たちでは処理できないと思ったそうです。特にオーストラリア在住のS様の対応が説明を聞いても理解できなかったということでした。
相続登記や金融機関の相続手続きに利用する遺産分割協議書には、各相続人が実印で押印し、印鑑証明書の添付が必要になります。
ですが、海外に住所があると、印鑑登録できないため、印鑑証明書を取得することができません。
そこで、海外に住所がある方は、印鑑証明書の代わりに、お住まいの国の日本領事館等で署名証明書(サイン証明書)を取得することで、相続手続きが可能となります(ちなみに、相続登記で利用するには、領事の面前で遺産分割協議書に署名し、署名証明書を綴り合わせてもらう必要があります)。
一時帰国中の方は?
そうすると、日本に一時帰国されている方は、わざわざお住まいの国に戻り署名証明書を取得しなくてはならないことになりそうですが、さすがにそこまで理不尽なことはなく、一時帰国中の方は、日本の公証役場で領事の面前でするようなことを公証人に対してすることで、相続手続きが可能となります。
S様は、約1か月後にはオーストラリアに戻らなくてはならないということでしたので、国内にいるお母様と妹様の書類は後回しでもいいので、まずはS様に署名していただく書類を完成させるため、早急に作業に入りました。
S様と公証役場へ
もし書類に不備があると、オーストラリアとの書類のやり取りになってしまうため、いつも以上に入念にチェックし、遺産分割協議書と金融機関用の委任状を作成をしました(普段から入念にやれよという話ではありますが…)。
そして、S様にはパスポートの持参をお願いし、事前に予約を入れた札幌大通公証役場で待ち合わせをしました。
公証人がS様の本人確認をし、公証人が見守る中(ついでに私も見守る中)、S様には遺産分割協議書と金融機関用の委任状に署名していただきました。
これでS様にしていただくことは全て終了となり、あとは当事務所が責任をもって相続手続きを進めるだけとなりました。
充実感のある仕事
その後、相続手続きは順調に進み、ご依頼から約1か月半で全ての手続きが完了となりました。
S様はすでにオーストラリアに帰国され、妹様も仙台に戻られていたので、お母様に完了書類(新しくできた登記識別情報など)の説明をする必要があると思い、お母様のもとに書類を届けに上がりました。
「自分じゃ絶対にできなかった」と、お母様には大変喜んでいただき、恐縮なくらい感謝もしていただきました。
ですが、感謝したいのは私の方で、司法書士のスキルが上がる良い経験ができましたし(署名証明書を利用する相続登記は何度かやっていたのですが、一時帰国中の方が絡む相続登記や相続手続きは初めての経験でした)、何よりもグローバルに活躍するS様の話を聞くことができ、大変刺激を受けました。
私にとってもありがたく、とても充実感のある仕事となりました。
相続登記・相続手続きの無料相談
当事務所では、相続登記を含む相続手続や相続対策、各種登記についての無料相談を随時実施しています。
海外に相続人がいる、そもそも相続人が誰だかわからない、相続人と音信不通・疎遠・関係性が悪い、相続人が行方不明 等の場合にも、ぜひご相談ください。それぞれにつき解決実績があります。
また、当事務所ではS様のご実家に伺ったように札幌市全域・札幌近郊への無料出張相談も行っています。無料出張相談の理由 >
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