遺言執行者からの委任

遺言執行の相談
札幌市南区のA様(80代女性)から、「遺言の執行をお願いしたい」と電話でご連絡をいただきました。道外に住むA様のお子様が当事務所のホームページを見て、A様に電話するようにと薦めたということでした。
電話で以下のような状況を簡単に伺った後、後日A様宅に訪問し、詳しくお話を伺うことになりました。
- 先月、A様の旦那様がお亡くなりになった
- 相続人は、A様と道外に住むお子様2人の計3人
- 旦那様は公正証書遺言を遺している
- 公正証書遺言で、A様が遺言執行者として指定されている
旦那様の思い
A様宅に訪問し、A様から以下のようなお話を伺いました。
「夫は自分の両親の相続の際に、疎遠な兄弟姉妹と折り合いがつかず、大変苦労しました」
「自分がした苦労を私にはかけさせたくないとの思いから、全財産を私に相続させるという内容の公正証書遺言をしたようです」
当事務所への依頼の経緯
また、以下のようなお話も伺いました。
「夫は私のためを思って、私を遺言執行者に指定したと思うのですが、私自身もすでに高齢で、足の状態も良くなく、外出もままなりません。そもそも法律知識もありません」
「当初、遺言執行は遺言執行者である私自身が行わなければならないと思っていたのですが、息子が専門家に委任できるということを調べてくれました」
「色々な事務所のホームページを見たうえで、高齢の方との接し方にも慣れている介護福祉士でもある司法書士を探してくれました」
遺言執行者が遺言執行を委任すること
遺言執行者とは、簡単に言うと、遺言の内容を実現する人のことです(民法第1012条)。具体的には、相続登記(相続不動産の名義変更)、預貯金や有価証券の解約等の相続手続きを行います。
そして、遺言執行者は必ずしも自分自身の手で遺言執行を行う必要はなく、遺言執行を専門家等の第三者に委任することができます。遺言執行者が遺言執行を委任できることは、通常の公正証書遺言では明文化されていますし、法律上の根拠もあります(民法第1016条)。
ですので、A様のようにご自身で遺言執行を行うことが難しい方は、専門家に委任しても全く問題ありませんし、専門家の立場からは、ぜひ専門家を利用してほしいと思うところです。
遺言のない相続手続きとの違い
後日、A様に遺言執行の委任状に署名押印していただき、具体的に遺言執行に着手することになりました。
遺言のない相続手続きでは相続人全員からの委任状が必要になるのですが、遺言執行者から委任を受ける場合には遺言執行者からの委任状のみで足りるため、作業が単純化されます。
具体的な遺言執行
旦那様の遺産は、自宅不動産(土地及び建物)・銀行口座3つ・農協の出資金でしたので、それぞれ相続登記・口座の解約・出資金の払い戻し等の手続きを粛々と行いました。
また、遺言執行者として行う相続人への任務開始通知(民法第1007条第2項)、財産目録の交付(民法第1011条第1項)、完了通知(民法第1020条、第655条)等も、遺言執行者であるA様の代理人として責任をもって行いました。
遺言執行の完了
ご依頼から2か月ほどで、すべての作業を終えることができました。
完了書類を届けに再びA様宅に伺った際には、当事務所のスピーディーな対応にA様も喜んでおられました。A様に苦労をかけたくないという旦那様の思いは実現できたのではないかと思います。
遺言執行の無料相談
当事務所では、遺言執行や相続手続の無料相談を随時実施しております。
遺言書がある場合には、A様のように遺言執行を全面的に委任することもできますし、遺言執行の一部だけを委任することも可能です(例えば、銀行口座の解約だけ依頼する、有価証券の現金化だけ依頼する、相続登記だけ依頼する 等)。
また、遺言書がない場合には、相続手続き「まるごと」サポート(※)という相続手続きの一括代行も行っていますし、相続手続きを個別に代行することも可能です(銀行口座の解約だけ依頼する、有価証券の現金化だけ依頼する、相続登記だけ依頼する 等)。
(※)相続手続き「まるごと」サポートとは、当事務所が行う相続手続き一括代行サービスのことです。詳しくは、以下をご覧ください。
当事務所では、A様のように外出が難しい方のために札幌市内全域・札幌市近郊への無料出張相談も行っています。無料出張相談の理由 >
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